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ドボジョという言葉がそもそも建設業界の古い体質を表しているという現実
ドボジョという言葉を聞いたことがありますか? 土木業界(建設業界)で働く女性を総称してドボジョというそうです。もとは漫画のタイトルだとか…(読んだことありませんが…)
おまけに日本建設業連合会は『けんせつ小町』なんていう建設業で働くすべての女性の愛称まで制定してしまいましたね。私の地元では田んぼのあぜ道の補修工事で十何年も前から麦わら帽子のおばちゃんが働いていました。このおばちゃんたちもけんせつ小町なんでしょうか? おばちゃん本人に聞いてみたいものですね?あなたはけんせつ小町ですかって…(笑;)
テレビ、新聞もこぞって建設業で働く女性にフォーカスして番組を制作することも多くなりました。働いている女性本人たちはどう思っているのでしょうか? いつもこの手の報道がなされるとホンネを聞いてみたくなります。
なんか失礼じゃないですかね? 働く女性に対して… 今まであまりいなかったから、珍しいから、と理由だけで名前まで付けて業界あげて持ち上げるのもどうかしてるんじゃないかと感じてしまいます。他の業界じゃ女性の管理職は当たり前のところもあるでしょうし、女性の社長だって全然珍しくありませんよね。むしろ優秀な人が上司になるのであれば男性であろうが女性であろうが関係ないと思います。あえて女性であることを前面に押し出して、ドボジョ、けんせつ小町、ともてはやす方が一生懸命働いている女性に対して失礼だと思うし、裏を返せばそうでもして業界を盛り上げようとする業界自体の旧態依然の体質を垣間見るような気がしてなりません。
女性の活躍できる社会
トンネル工事に代表されるような建設工事では過酷な労働環境からの女性の保護という観点で坑内に入ることも禁止されていたというのは昔の話。今どきはそんな話はどこ吹く風という感じで若い男性が弱々しく感じることも多くなりました。(草食男子とか…まぁ時代の流れかも知れませんが…) しかし、社会人として活躍するにあたり、男性、女性、とか区別するのは既に時代遅れという世の中において、建設業だけはなぜが女性を特別視するという時代錯誤が蔓延している気がします。
こんな環境は日本だけでしょうね。海外で仕事をしていると、建設業で合っても女性の土木部長なんて何人も見てきたし、女性の職長さんだって何人もいました。
こればっかりは建設業界がどうこういうよりは、働く人の意識、特に年配のオジサン所長、職長さんたちの意識が変わらないことにはこのままずっと変わらないんだろう、というのが私の考えです。
あえてドボジョ、リケジョという言葉を使う危うさ
そもそもあまりいないから、珍しいから、ということなんでしょう。一時的なブームとなって建設業が盛り上がるのは別に構いませんが、この流れによってヘタに持ち上げられて会社勤めが嫌になる女性が一人でもいるのであれば、そろそろ普通の業界を見習ったらどうよ??って思ってしまいます。
具体的には社内に設置された女性だけの部署とか女性らしいきめ細やかさを求められて設置された部署に配属されてしまった女性社員の気持ちも特集して欲しいものですね。同期の男性よりも社内で出世してしまった女性、ひがみ、やっかみを受けて会社が嫌になった、なんて声も耳にしたりします。オジサン連中の浅はかなイメージアップ作戦なんて所詮そんなものなんでしょうけど…
オジサンの意識改革
私が新入社員の頃、現場の所長はトイレを設置しなくてはいけなくなる、更衣室が必要になる、等々の理由で女性現場監督の受け入れを拒んでいました。確かに数百万円の利益を追求する小さな現場にとってみたら原価管理上、無視できない金額になるのかもしれません。であれば、余計な飲み会を減らせばいいじゃん!現場のこの観葉植物ってホントに必要なの?? なんてことは新入社員の私の口からはとても言える環境ではありませんでした。(省;)
また、たまたま現場の飲み会に参加した女性社員をコンパニオンと勘違いする現場オヤジ。まさに昭和初期のセクハラを絵にかいたような現場オヤジが生息しているのもこの業界の特徴でもあるのでしょう。こうしたオジサンの意識改革が進まない限りこの業界の古い体質は変わらないんでしょうね。残念ですが…
私の子供が女の子で、仮に建設業界に進みたいと言われたら… 間違いなく阻止するでしょう(笑;)
今の現状では女性の働きにくい業界が浮き彫りになる?
男性でも有給休暇を取得するのが困難なこのご時世。女性が活躍するには育児休暇や出産のための休職制度などが整備されない限り、この業界への女性進出は難しいのではないかと考えます。そのために何をするか… 個人的には再編、統合による改革なくしては変わらないでしょう。そして、そのような建設業界になるために必要な年月はどれくらいかといわれると…あと30年は無理でしょうね。(長っ!!)
古い体質、変わらない意識、多すぎる業界関係者、政治と地元の建設業界の関連性、などなど。変わらない理由は山ほど挙げられます。
今回はなんだかとっても残念な記述になってしまいました。
そうはいっても建設業で働く女性は今後も増えていくことでしょう。理不尽な状況に追い込まれることも(他の業界に比べて)あるかと思いますが、腐らず奢らず頑張って欲しいと思います。