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建設業は請負業。請け負け、すなわち請けたものが負ける世界
言わずもがな、建設業は請負産業という言葉を聞いたことのある方も多いかと思います。私が入社した時の新入社員教育でも、「建設業は請負受注産業。一品一様でありその地域、発注者のニーズに応える為に同じ建設物を造るということはない。」という他業界との違いについて説明を受けた記憶があります。でも、誰も請負業=請け負け業という説明をしてくれなかったですね。。。(泣;) そうなるべくしてなってしまったこの業界の仕組みに気が付くまでに数年を費やしてしまいました。
発注者が一番エライとは思いません。でも実態は。。。
転職して契約関連の業務(建設業じゃないですよ! 笑)に就くこともしばしばありますが、つくづく感じるのは契約書っていうのは発注者が作成して請負業者に契約後に順守させるもの、ということです。つまり、何が言いたいかというと、発注者は自分に都合の悪い内容は契約書に盛り込まない、という誰もが考えれば簡単に理解できる事実。発注者は当然、発注者が望む建築物を安く早く完工して欲しい。追加のお金(設計変更)なんてできれば認めたくない、というのが本音でしょう。契約前には色々と詳細を詰めるにせよ、それでもやはり契約上の立場は発注者の方が上になるのが自然の流れでしょう。
時にはこの契約上の立場を完全に勘違いしたアホ発注者もいますけど、私は完全に仕事と割り切って接していました。おそらくほとんどの人がそうでしょうけど。。。
業界団体が掲げる「週休2日」 今さらって感じませんか?
政府が進める「働き方改革」。これに便乗(?!)して建設業界でもようやく週休2日の定着を目指す方針が固まりつつあります。。。
って今さら???って感じませんか?
そもそも週休2日を実現するのが目標とか言っている時点で一回り以上も周回遅れの感が否めません。実際業界団体も週休2日を実現しないと他の業界と同じスタートラインに立てない。今後5年程度で週休2日の定着を目指す方針、とのことです。。。
「ん・・・っ?」
目指す方針ってところがとても気になりますが、それだけ時代錯誤の業界ということなのでしょう。これが地方の小さな建設会社の親方が言うセリフであれば気にしないのですが、スーパーゼネコンですらこのような状況ですからね。。。
休日出勤したがる職人さんたちはどうする?
私が建設会社で働いていた時も当然のように週休2日の現場なんてありませんでした。ひどい時には3ヵ月休みなしとか… それを堂々と自慢気に語りだす暑苦しい上司とか普通にいましたね。もう二度とあの頃には戻りたくありません。(マジで…)
たまの休みが貰えると思っていたらコレがなかなか難しい場面にも遭遇しました。当時、現場で働いていたのは秋田とか青森とかから短期出稼ぎの職人さんの多い現場でした。彼らは現場が休みになったところで全然嬉しくありません。パチンコや競馬でせっかく稼いだ有り金をスッてしまうこともしばしばでした。早く仕事を片付けて早く地元に帰りたいという声を聞いて「なるほど」と妙に納得してしまったことも覚えています。
結局は「発注者に理解を求める」というお決まりのフレーズ
結局のところ、週休2日でも工事が完了するように工程を組んでおく。予算を見込んでおく。というのが正しい方策のように思いますよね。そうするとどうなるかわかります???
仕事が取れなく(受注できなく)なってしまうんですよね (泣;)
業界団体から発せられる対応策としては、『業界全体で足並みをそろえ、発注者に理解を求める必要がある』 だそうです。 内輪(業界内)で縛りを設けてあとは完全に他人に責任転換してねぇか?って感じたのは私だけでしょうか?
一方の発注者側(この場合民間ですが)のコメントは、『生産性を上げる工法の開発を含める必要あり』だそうです。
如何でしょう?完全に噛み合っていませんよね?
発注者だって慈善団体じゃあるまいし、建設業界の発展のために自らの利益を損じてまで工期が延びることを許容しないでしょう。当たり前の話です。残念ながら請け負うということは立場弱いです (泣;)。
建設業界団体の掲げる改革を期待するか、それとも自分で未来を開拓するか?
週休2日以上の現場は10%にも満たないそうです。私の家の近くでも土曜であろうが日曜であろうが現場工事は休みなしで動いています。
大手ゼネコンで組織する日本建設業連合会は「週休2日推進本部」という冗談のような組織を設置したそうです。そもそもそのメンバーに属している人たちは間違いなく週休2日を取得しています (断言!)。現場勤務じゃありませんからね。。。
「業界の施策と発注者の考え」、「請け負いという受注形態」を考慮した時にこの業界の労働環境は改善されるのだろうか?と考えてしまいます。しかし「まず改善はムリ」でしょうね。
業界の再編なくして痛みを伴わずにみんな仲良く発展していきましょう、という時代は既に過ぎ去ってしまったことに早く気が付くべきなんでしょう。(無理でしょうけど。。。)
であれば、自分で未来を切り拓くしかありませんね。どのみち衰退の未来しかないのであれば思い切って環境を変えるのも良いかも知れません。(というか、それしか方法はないと思います)