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データでみる建設業界の今後の動向と課題
今後、多くの企業の倒産が始まります。建設業界も同様、公共、民間投資の減少により今まで経験したことのない不況が襲いかかることになるでしょう。高度経済成長期を皮切りに、私たちの生活には欠かせないビルや道路、ダムなどのインフラ設備を整備してきた建設業界ですが、今後も厳しい状況が続くことは明らかです。
建設業界は古いビジネスモデルの上に成り立っている
戦後、日本は社会基盤の整備から復興がはじまりました。新幹線や高速道路、トンネルなどの交通インフラ、ビルや大型商業施設などの建設構造物が多く造られて日本の復興を支えました。また、この頃の建設業は地方経済の活性化にも寄与していました。公共事業として地方に分配することで、地方の建設会社やその地域の活性化に大きく貢献しました。景気対策としての公共投資が有効に機能してきた時代です。1990年代にはGDPの18%を建設投資額が占め、建設業の就業者数も全体の10%以上、建設業は日本の基幹産業として日本の経済を支えてきました。
しかし近年、インフラ整備が成熟したこと、地方インフラ需要の減少、人口減少、不正や癒着による公共事業のイメージダウンなどにより、建設業界は落ち込んでいます。まるで、建設業界を取り囲む環境は日本の社会構造と全く同様です。就業者の30%が55歳以上の高齢者で、若年層は労働条件の悪化などで定着せず、建設業界は他の産業よりも高齢化が進んでいます。
このように、外部環境の変化に適応できない建設業界は、まさに古いビジネスモデルの上に成り立っている、と言わざるをえません。
建設市場の縮小
建設活動の動向を出来高ベースで表す建設投資額(主に民間投資と政府投資で構成)は、平成4年(2002年)の84兆円をピークに激減しており、平成22年(2010年)には半分の42兆円まで縮小しています。現在は52兆円と、ピーク時から38%も減少するも、国内産業において建設業は、自動車・自動車部品製造業(67兆円)に次ぎ第2位の市場規模を誇っています。
建設業者数(27年度末)は約47万業者で、ピーク時(11年度末)から約22%減。また、建設業就業者数(27年平均)は500万人で、ピーク時(9年平均)から約27%減となっております。
投資額は半減しているのに、建設業者数、就業者数ともに2~3割減にとどまっている、つまり少ない仕事を多くの会社で取り合っている、という現状が読み取れます。ここ数年は災害復興支援やオリンピック関連特需の影響もあり投資額は増えてきましたが、反面、資材の高騰、職人の不足、長時間労働、といった別の問題も浮き彫りになってきました。
建設業における高齢化の進行
建設業就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題となっています。全産業と比較しても建設業界の高齢化は明らかです。
また今後、高齢者の大量離職の見通しがなされていることからも、担い手の確保が喫緊の課題となっています。
あなたの会社ではどうでしょう? 歳の近い先輩よりも年配のオヤジ (おじいさん)が多い現場がほとんどの訳はこうした背景から来ています。
建設業における年収額の推移
他の産業と比較した時の建設業の年収額の推移です。製造業と全産業の男性全労働者の年収に大きな差はありませんが、建設業男性全労働者との乖離は大きいことが読み取れます。
建設業の労働時間、年間出勤数の推移
労働時間数は1980年代後半以降に普及し始めた週休二日により減少してはいるものの、依然として他産業よりも労働時間が長く、2018年は調査産業計に比べて約300時間増の長時間労働となっています。あなたも働き過ぎていませんか?
また建設業の年間出勤日数は、他産業に比較しても30日ほど多いという統計結果も出ています。つまり1か月分丸々多く仕事しているということ。週休2日が定着していないこと、有休休暇が取得しにくい状況にあることが要因ですね。
建設業界の課題
上記以外にも建設業界が今後改善すべき課題について記載しました。
- 減少する建設投資への対応
- 高齢化対策
- 若者の離職
- 技術継承
- 低迷する利益率
- 難航する新規事業
- 週休2日制の導入
- 長時間労働の改善
- などなど…
成長産業?斜陽産業?
如何でしょう?データでみるとあなたが今おかれている状況について理解できたと思います。(現状を受け入れるかどうかは別として…)
その昔「鉄は国家なり」といわれた鉄鋼業界、斜陽産業と揶揄された造船業界と同じになってしまうのでしょうか?
建設業界はあまりにも関連する企業、就業者が多すぎてドラスティックな変革は起きないと考えます。
つまり何が起きるかというと、活かさず殺さずだらだらとそして気が付いたら縮小していく運命。
今後、かつてのような大きな国家プロジェクトはありません。しかし、維持補修などの需要が消えてなくなることはありません。なので建設会社は必要。でも、今までほど多くはいらない。ということです。
決して消えて無くなることはないけど、決して今後大きな発展は見込めない業界。そんな将来が見えてきました。